イヤミス(深く、深く砂に埋めて 真梨幸子著)

映画化するなら女優は…

かって一世を風靡した美貌の女優・野崎有利子。彼女に魅せられたエリート
サラリーマンが、殺人と詐欺の容疑で逮捕された。やがて明らかになる男の
転落と女の性(さが)。奔放に生きる有利子は悪女か。それとも聖女なのか?

 

「映画化するなら、あの女優が有利子だな」と早めに思い浮かびます。

 

男を虜にする有利子。
欲望に正直な有利子。
金のかかる女有利子。

 

けれど、悪びれたとこは見せない。

 

甲斐性なしは付き合えない女。
なにもかも失わせてしまう女。
自分以外の男の影も見える女。

 

されど、憎めない。

 

 

魔性の女に捕まって、堕ちていく男たちの物語

 

読み終わった頃には、あの女優で映画化して欲しいなと思えてきます。

魔性の女は悪女か聖女か

有利子は平気でウソをつく。

『真実を言うことで相手が傷ついたり悲しんだりするよりは、真実とは別のことを言って
 相手を安心させたり喜ばせたりすることを選んでいたのだろう。』

 

これが有利子がウソをつく理由。

 

真実よりも相手の気持ちを考える有利子

 

ただ、ウソが更なる悲劇を招いてしまうだけ。

 

悪女か聖女か?

 

 

有利子は理性を失わせる。

 

エリートサラリーマンから母親の同棲相手まで。

 

有利子は、関わった男の理性を失わせてしまう。

 

『僕は、この女のためだけに生きよう。』

 

そう思わせてしまう。

 

その美貌だけで。

 

 

美しく生まれたことは悪なのか?

 

その美貌で相手が一方的に狂ってしまうことは悪なのか?

 

 

有利子は地獄が怖くない。

 

母親から天国について聞いた後での有利子のセリフ。

『そんなところ、つまらない』

 

『天国では、神様の目を気にして、何もできないんだわ。

 

 悲しみも苦しみも争いもない代わりに、楽しみも刺激も興奮もないんだわ。』

 

続けて、地獄についての有利子のセリフ。

『そんなんだったら、地獄のほうがマシ』

 

『地獄に堕ちたら、私、きっと鬼を味方につけて、

 

 天国の天使なんかよりも優雅に暮らしてみせるわ』

 

 

いずれも、有利子が14歳のときに語った言葉。

 

魔性の女、ここにあり。

 

地獄が怖くない有利子が怖がったものは…

地獄が怖くないと語った有利子にも、一つだけ怖いものが。

 

有利子が有利子でなくなってしまうもの。

 

タイトルが最後に効いています。

 


深く深く、砂に埋めて (講談社文庫)

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