イヤミス(少女 湊かなえ著)

「告白」とは別種のイヤミス

ベストセラーともなった「告白」でハマった湊かなえさんの作品「少女」を読んでみました。

 

「告白」が、中学生の男子2人にスポットをあてたのに対し、
「少女」は、高校生の女子2人にスポットがあたっています。

 

高校生の女子と中学生の男子とでは、精神年齢が大人と子供ぐらい違いますね。

 

基本的に、男子の方が子供っぽいですし、
中学生と高校生でも、考え方が大きく違います。

 

ただ、高校生は高校生。大人ではありません。

 

頭では色々なことを考えられるようになったんだけど、
どう表現したら良いか、どう行動したら良いかが分からない年齢。

 

しかも、学校という閉じた世界が、この世の全てだと思ってしまう年齢。

 

そんな高校生だからこそのイヤミスが展開されていきます。
以下、「ネタばれ」も含んだ感想なのでご注意を。

 

因果応報!地獄に堕ちろ!

主人公は草野敦子と桜井由紀の女子高生2人。
二人が出会ったのは、小学校の時の剣道教室。

どんな大会でも、トロフィーをもらって帰ってくるようになったのが敦子。
小学校5年の時に割れたグラスで怪我をしてしまい剣道をやめたのが由紀。

 

そんな二人が、高校の夏休みにボランティアに行くことになります。

 

敦子は、老人ホームへ。
由紀は、小児科病棟へ。

「死体を見ることができるかもしれない。」と思ったのが敦子。
「身近な人が死ぬ瞬間を見たい。」と思ったのが由紀。

この二人の視点で物語は進みます。
「死」がボランティアに行く動機になっているところが、いかにも「イヤミス」。

 

ただ、次々とイヤな人が出てくるという展開にはなりません。
「なんでもサタンのせいにする岡田さん」が登場しますが、ちょっとズレてるだけ。

 

むしろ、「心温まる」エピソードすらあります。
が、イヤミスの期待は裏切りません

 

「因果応報!地獄に堕ちろ!」

 

このキーワードが、いいタイミングで出てきます。
因果応報ぷりが、見事なミステリになっています。

 

そういう意味では、「ミステリ」要素の強い「イヤミス」です。
ただ、読後感はイヤな気分にさせてくれます。

誰が地獄に堕ちるのか?

「因果応報!地獄に堕ちろ!」が、この本のキーワード。
「誰が地獄に堕ちるのか?」と思って読むと、イヤミスの味わいが出ます。

 

ただ、暗いテーマにしては、軽い笑いもあり、いいテンポで話は進みます。
「敦子とおっさん」「タッチー&昴」など、いいコンビが出てくるのも読みどころ。

 

読み終わって、他にも地獄に堕ちる人がいるのかな?と考えるのが最高の一時です。

 


少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)

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