イヤミス(転落 永嶋恵美著)

いかにもイヤミスなタイトル

タイトルが「転落」。

 

このいかにもイヤミスなタイトルに惹かれて読むことにしました。

 

設定も何かが起きそうな予感。

浮浪者に転落したボク。
小学生の女の子からお弁当で「餌付け」されてしまう。

 

女の子と浮浪者が、主人と下僕になったときに物語が始まる。

女の子の目的は?
ボクが転落してしまったキッカケは?

 

謎がひとつずつ解けていきます。
以下、「ネタばれ」も含んだ感想なのででご注意を。

 

ミステリーがリードする小説

女の子とボクの関係は、あっけなく終わってしまいます。
ただ、ここからが本当のミステリーの始まり。

 

ボクが転落してしまった経緯がイヤミスです。

預かっていた義姉の子が交通事故で亡くなってしまう。
ボクも全治一ヶ月の重傷、運転手はそのまま死亡。

怒りをぶつける相手を失った義姉が責めたのはボク

 

「不注意だ」と。

 

安易に子供を預かったことまで身内から責められるボク

 

被害者の自分が、まるで加害者扱い。
ミステリーが解けるにつけ、イヤな気分が重なっていきます。

 

 

ボクが転落していく経緯もイヤミスです。

周りがすべて敵に見えてしまう。
他人の善意が悪意と思えてしまう。
そんな時に、思わぬ「チャンス」が。

このあたりのボクの心理描写が見せ場です。

 

耐えられない環境下におかれることで、
理屈だけが自分の中で研ぎ澄まされてくる感じに
自分を少し重ね合わせて読みました。

読みどころは89ページ以降

この本の読みどころは「U 隠匿」(89ページ)以降です。
はじめに出てくる「女の子と浮浪者」の話はメインではありません。

 

「T 教唆」を読んで、イマイチだなと感じても、
「U 隠匿」の頭ぐらいまでは読んでみてください。
(「T 教唆」の途中を飛ばして、79ページから読み始めても話は分かります。)

 

おそらく、先が気になり、最後まで読んでしまうのではないでしょうか。

 


転落 (講談社文庫)

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